地域医療の危機的な現状

岩手の医師不足の現状

  • 医療施設に従事している医師数は、「増加傾向」
  • しかし、人口10万対の医師数で全国と比較すると、岩手全国「格差は拡大」

出典:「医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)[各年12月31日現在]
備考:医師数は、医療施設に従事している医師数

  • 県立病院における常勤医師は、ピーク時545人と比較して「43人が減少」

出典:岩手県医療局

  • 被災地である沿岸部の県立病院では、ここ10年で常勤医が167人から「136人」となり、「医師不足は深刻の度」を増す
  • 被災前には60床規模の病院を常勤医師2人で維持する状況も

出典:岩手県医療局

  • 東日本大震災津波で被災した県立病院は、すべて再建されました。
  • しかし、病棟再建後の入院の受入に当たって、医師の継続した確保が大きな課題に
  • 厚生労働省が平成22年に実施した「病院等における必要医師数実態調査」において、「病院等が担うべき診療機能を維持するために確保しなければならない医師数」を調査
  • 全国の病院等が回答した
    更に必要な医師数「約2万4千人」
  • 岩手における病院等が必要と回答した医師数は
    現員医師数「1.4倍」「全国で最も不足」

出典:「病院等における必要医師数実態調査」(厚生労働省)[平成22年6月1日現在]

  • 可住地面積当たりの医師数は、0.67人/km2全国平均の約1/5

出典:「医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)[平成28年12月31日現在]、
「社会生活統計指標-都道府県の指標-2016」(総務省統計局)
備考:医師数は、医療施設に従事している医師数

全国の医師数の現状

  • 医師数を人口10万人当たりでみると「西日本が多く」「東日本が少ない」傾向
  • 最多の徳島最少の埼玉の格差は「約2倍」

出典:「平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)[平成28年12月31日現在]
備考:医師数は、医療施設に従事している医師数

  • 各都道府県で、人口10万人対の医師数が最大・最小の二次医療圏
  • 医師が比較的多い西日本を含め、全国的に地域間の偏在があることがわかる。

出典:「平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)[平成28年12月31日現在]
備考:医師数は、医療施設に従事している医師数
二次医療圏単位の人口の算出に当たり、市町村別の人口は、便宜上、平成29年住民基本台帳人口(H29.1.1)を用いた。

日本の医療の将来

  • 2025年には、首都圏・近畿圏等の大都市部で、「75歳以上の人口」が2010年と比較して「1.5倍以上増加」
    • 団塊の世代の高齢化に伴い、2010年から2025年にかけて、75歳以上人口は全ての都道府県で増加
    • 特に、首都圏・近畿圏等の大都市部の多くでは、ここ10年で1.5倍以上と急激に増加
  • 入院患者の「約50%」「75歳以上」
    • 全人口に占める75歳以上の割合は16%であるが、入院患者数では半数以上を占める
    • 75歳以上では、入院需要が急激に増加

出典:「人口推計」(総務省統計局)[平成26年10月1日現在]、「平成26年患者調査」(厚生労働省)[年齢不詳を除く]、「日本の地域別将来推計人口(平成25(2013)年3月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)

将来の人口・入院患者の簡易推計(全国)

出典:H26患者調査-入院受療率(全国)/社人研人口推計に基づく簡易版入院患者推計

まとめ

  • 岩手の医師数は「全国との格差が拡大」「現員医師数の1.4倍必要」であるなど、「絶対数が不足」「地域医療崩壊」の危機的状況
  • 沿岸被災地の県立病院では、ここ10年で「常勤医の2割近くが減少」「医師不足が深刻の度」を増す
  • 患者の少子高齢化に伴う医療ニーズの変化などにより都市部での医療需要の大幅な増加が予想され、これに対応できなければ日本の医療全体崩壊しかねない。

医師の不足偏在などによる「医療崩壊」の回避は、全国共通の課題

「医療崩壊」の危機を全国民が共有し安心で持続可能な医療提供体制を構築することが必要

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